中村 昌彦 氏 中村 昌彦 氏

─ 会社としての取り組み

  「相続が発生したので管理会社を変えます」こうした理由により、他の不動産会社で売却されてしまうなどの事態が現場で発生しており、以前から何とか対策をしないといけないという課題がありました。やはり問題点は、我々がオーナーの資産全体を把握していないことにあると思います。そのため会社として相続支援に取り組むべきだという結論に至りました。
 そこで当社は毎年、相続支援コンサルタント講習を5人近く受講させています。もちろん上級講習まで受講しています。私は専門部署におりますが、他部署や営業所の従業員も受講して、会社全体として底上げを図っています。

─ 相続支援を学んで

  個人的な意識からすると、相続支援コンサルタント講習はレベルが高いと思います。私も過去、新築アパートのオーナーに提案していたことがありますが、知識はあくまで建築していただくためのものであって、オーナーの資産をどうやって維持していくか、といった提案はできていませんでした。そこを学んだことにより、オーナーへの提案の種類が増え、対応力も向上しました。オーナーも誰に相談していいか分からないようで、税理士や弁護士に相談するのは敷居が高く、費用がかかるなど不安を持っていることが分かりました。
 当社が相続セミナーを開催して、オーナーへの認知度をあげることによって、気軽に相談していただけるようになってきました。とは言うものの、セミナーは毎回20人規模なので、まだまだだと感じています。

─ 相続支援は地道

  相続支援コンサルタントは地味だけど非常に重要だと感じます。成果がすぐに出ないので、農耕型の業務になります。これを営業利益で考えられてしまうと非常に難しいです。そこまで会社が耐えられるか、目先を取りに行くのか、種まきをずっとし続けるのか、最終的には経営者の判断になると思いますが、その悩みはどこの会社でも持っているのではないでしょうか。ここは悩みでもあり、課題だと思います。

─ 他部署との連携

  多少変化を感じてきているのは、会社全体として触覚が磨かれてきたことです。こんな相談がきたが自分では対応できないから助けてほしい、という話が増えてきました。
 相続が発生した後でもアドバイスできる部署がある、とオーナーに言えるだけでも違います。今までは信号をキャッチできなかったが、そうではなくなってきたことは会社としては大きい進歩です。
 オーナーへの種まきと同時に、自社への種まきも両方やらないとダメだと今は実感しています。相続支援をきっかけに建築の仕事を受注するとか、リフォームの仕事を受注するとか、派生的に仕事が増えていきます。地道にやり続けることが大事で、途中で諦めてしまうとそれまでの取り組みが水の泡になってしまいます。今後も当社はこの相続支援業務を積極的に取り組んでいきたいと思います。

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